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戸隠キャンプ場から黒姫山

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最早恒例となった、高速バスの廉価乗車券を利用しての戸隠行である。高妻山に登頂したので、次はいよいよ戸隠山かと思案するところだが、平穏に山頂ビバークを愉しむ為に、黒姫山に登ってみることにした。毎度の同時刻に到着した戸隠キャンプ場のバス停から、暫くは県道を歩く。歩いていく先の正面に黒姫山が既に全容を現わしている。天候は申し分の無いもので、路傍の雑木林に点在する湿地には、水芭蕉も咲いていると云う、五月の連休明けの平日である。

Photo

2018/5/15
戸隠キャンプ場バス停(13:45)---大橋林道入口(14:15)---新道分岐(15:15)(15:30)---しなの木(16:00)---しらたま平(17:05)---峰ノ大池分岐(17:35)---黒姫山(17:55)
2018/5/16
黒姫山(6:40)---峰ノ大池分岐(6:53)---峰ノ大池(7:15)---峰ノ大池分岐(8:00)---しらたま平((8:30)---しなの木(9:15)---新道分岐(9:40)---古池(10:15)(11:00)---大橋登山口(11:35)---戸隠キャンプ場バス停(12:05)

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大橋林道経由のコースは、登山道に転じると、存外に熊笹の繁茂する道程になった。人の気配は全く無いので、熊が出てこないかと少々不安になる。其れでも、見上げると白樺林から陽光が差し込む心地好さで、徐々に緩やかな尾根を登り始めたと思った矢先に、新道分岐の四辻に到達した。

此処で暫く紫煙を燻らせて休憩していると、単独行の壮年男性が下山してきた。暫く歓談するが、此の時間帯に登り始める、巨大ザック装備を担ぐ私の事情を説明しない訳にはいかない。案の定、山中でテントですか、と壮年氏は感嘆する。特に非難のようなニュアンスは伺えないので安堵する。其れどころか、私が漠然と幕営予定地に考えている、しらたま平と云う場所は、其の名前が表現するような小平地ではないそうで、あそこでテントを張れるかなあと心配してくださる程であった。

日本百名山全山制覇が近いと云う、諏訪在住の壮年氏と、思った以上に長話に興じてしまった。百名山の最後に、高妻山を残していると笑う壮年氏と別れて、ふたたび静かなる尾根歩きを再開した。岳樺の立ち並ぶ気持ちのよい踏路から、気がつくと飯綱山の北側に広がる盆地を見おろす迄に、標高が上がっていることに気付く。

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程無く尾根の途上の小平地である、しなの木と云う名の在るポイントで小休止する。テントを張るには適した場所であるが、陽光は未だ燦燦と輝く午後三時である。私は予定通りに、黒姫山外輪の稜線に在る、しらたま平を目指して、明瞭に続く踏路を行く。くだんの壮年氏の情報を、実際に確認してから、今夜の幕営地を考えても不安の無いコースタイムであった。

陽当たりのよい尾根に刻まれた登山道が、稜線に近づくに連れて西に迂回するようになった。陽の影になった処で、残雪を踏むようになると、眼前にドーム状の山塊が唐突に出現する。黒姫山の中央火口丘である御巣鷹山(小黒姫)である。本来であれば目的としたい頂点であるが、登山地図に道標は無く、一般的ではない。

黒姫山の外輪山は、中央火口丘を取り囲んでいる訳では無く、北西の頚城山塊の方に向かって、馬蹄形のように構成されている。其の、外輪山の最高点である黒姫山を目指して、踏路は稜線を東に向かって続いている。

やがて樹林が全く無い岩礫の広場に到着した。此処が例のしらたま平で、南面には飯綱山の山群を見おろすようにして、景観が一挙に広がる。右手に台形の、高妻山と乙妻山がワンセットになって鎮座しており、其処から連なっていく戸隠の山々は、ひと塊になって隆起しているように見える。

絶景のポイントだが、やはり壮年氏の云った通り、しらたま平は其の名に反して、瓦礫が傾斜となり広がっている処であった。どんなに検分しても、テントを張って寛げるような場所は見つからない。陽は傾き掛けてはいるが、未だ充分に明るいので、此の儘、黒姫山頂上迄歩くことにした。三日月のように歪曲する形で外輪山の稜線が左にカーブしていく先に、明瞭な三角形の山が聳えている。黒姫山の頂点に着く迄、陽が暮れることは無いだろうと思った。

ふたたび歩き始めると、徐々に暮色が濃くなってきた。麓に広がる田園地帯に、黒姫山の形の影が投射されている。山腹の向こうに、大きな湖が確認された。野尻湖と、其れを抱えるようにして背後に盛り上がっている斑尾山は、まるでミニチュアのようにこじんまりとしている。峰ノ大池分岐に達すると、直ぐに登り返す。山頂直下の勾配が急激に上がって、振り返ると御巣鷹山が西陽の逆光で黒く盛り上がっている。雪が残る岩場をひと登りで、標高2053mの黒姫山に登頂した。

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石の祠の傍らにザックを下ろして、茫然として紫煙を燻らす。陽は枯木越しに見える御巣鷹山の真上に沈んでいく途中だった。戸隠連峰、弥勒尾根の途上から、五地蔵山のピークから、今迄何度も眺めては、いつか訪れることがあるのだろうかと思った雪の妙高山が、直ぐ其処に聳えている。北信五岳のカテゴリに就いて、特に意識はしていなかったけれど、此処迄登ってみると、少々の意欲が湧いてくる。

山頂は狭く、岩が敷き詰められたようになっているので、幕営適地とは云えなかったが、何処かに張らない訳にはいかない。結局、祠の近くの岩を可能な限り取り除き、テントを設営した。寝床の準備が整い、山頂で麦酒を飲んでいると、みるみるうちに夜の帳が、下りてくるようであった。

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追記

翌朝、地平線は靄靄としていたが、朝陽は野尻湖の左方から昇ってきた。戸隠キャンプ場バス停に、正午に到着すればよいので、余禄を持って黒姫山を撤収し、下山に掛かったのが午前六時四十分。其れでも早いから、折角なのでと、峰ノ大池に下り、西登山道経由で下山しようと思い立った。分岐から下り始めて間も無く、積雪の道となった。点在する赤テープを確認しつつ、御巣鷹山を正面に見ながら下り続けて、雑木林を抜け出ると、一面の雪景色だった。黒姫山の南面を登って、新緑も近いな、などと考えていた私にとっては、冷や水を掛けられたような気分の冬景色だった。

火口の中の積雪の道を、其れでも進んでいくが、膝迄埋もれる程の積雪になり、断念して引き返す。外輪山の分岐点迄登り返していく行程は、今回の登山で最も苦しい登りだった。

しらたま平で残雪の高妻山が怜悧に聳えているのを眺めて、前日登ってきた登山道を下っていく。新道分岐で古池に降りると、珍しくも無いような風情で、そこかしこに水芭蕉が咲いていた。時計回りに古池を半周し、登山道の分岐に達したが、時間が随分余っているので、池の畔のベンチで大休憩をする。暖かい陽差しを浴びながら、ポケット壜のウィスキーを舐めていると、身体が弛緩していくようだった。

戸隠キャンプ場バス停から予定通りのバスに乗り、戸隠中社で下車し、恒例の「神告げ温泉」に入浴。浴後は、麦酒と蕎麦。前回は天笊で失敗したので、笊の大盛りにした。平日の所為か時刻の所為か、今日も空いていて快適だった。

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