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送電峠、長尾根山、五常山。関ノ入尾根を歩く。

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2012/10/10

武蔵横手駅(12:00)---長尾根山[273mピーク]---五常山[305mピーク]---土山---北向地蔵---物見山---日和田山---巾着田---高麗駅(16:00)

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西武新宿線の某駅で、奥武蔵ハイキングマップと謂う簡便なパンフレットが無料配布されていたのを見て、今迄訪れたことの無い奥武蔵に興味が湧いてきた。思い立って出掛けてみたものの、飯能駅から先に向かう電車の本数が極端に少ない。閑散とした待合室でハイキングマップと地形図を並べて、武蔵横手駅から日和田山を廻ると謂う漠然としたことだけを決めた。

観光ポイントである五常の滝への車道から、物見山へと続く登山道があるようだが、地形図を眺めているうちに、日高市と飯能市の行政区境が貫く尾根を歩けないものかと思い始めた。西側の谷筋に合流しそうな尾根の途上に、273m.305mと謂う、ふたつの標高を記したピークがある。武蔵横手駅を出て、とりあえず五常の滝への車道に入り、左側の尾根を注視して歩いていたら、難なく登り口は見つかった。上がった処は寺社の在る崖地で、山林の中に古びた墓地が段々に並ぶ、少し不気味な雰囲気の場所であった。墓地の合間に踏跡の明瞭な登る道があり、少し登ったら市町境界線上の、最初の小ピークに着いた。

踏跡は的確に続いており、地形図を凝視しながら、不安は杞憂に終わったのだと安堵した。小ピークから下りた鞍部で、送電線の巡視路らしき道が合流してきた。小さい案内の札があり、林道関ノ入線、と書いてあった。其れに拠ると、くだんの墓地は薬師堂で、此れから向かう先のピークの名は、どうやら長尾根山と呼ぶらしい。直ぐに送電線を横切る地点が現われ、小さい鉄塔が鎮座する処に手書きの札が木に括り付けられている。送電峠と書かれているが、余りに安直過ぎる名前が乱雑に書かれているから、なんとなく、素直に受け入れられない気持ちがある。そう思うと、長尾根山と謂うのも、長い尾根の山、なので、どうにも安易な山名であると謂う気がする。

なだらかな樹林帯を進むと、やがて南西から派生する尾根が合流する地点に登る。木々の合間から、漸く日和田山方面の眺めが垣間見えるようになった。そして直ぐに、やや急傾斜の斜面が現われて、道が細くなり、ジグザグによじ登っていくと、痩せ尾根の途上のようなピークに立った。此処が273mピークで、やはり手書きの案内票があり、長尾根山と記してあった。

西側に回りこむようにふたたび鞍部へ下りて、相変わらずの樹林帯を歩く。送電鉄塔迄来ると、高指山の電波塔迄をも見渡せる風景が広がった。少し北西に進路を変えて、目の前に大きな山容が立ち塞がる。道は緩やかに傾斜を変えて、暫く登ったら明るい場所に出た。と思ったら、此処が305mで、五常山と書かれていた。五常の滝との関連性は、やや希薄のようにも思える位置にあるが、判り易いピークの名前としては、相応しいとも思える。

其処からは、右手に広がる、五常の滝へと至る深い谷を横目に見ながら、左へと旋回するように尾根を歩く。植林が鬱蒼とした沢へと横滑りしていくような感じで、薄暗い樹林帯へと進路が導かれる。やがて立派な指導標が現われ、武蔵横手駅と記してあった。地形図に破線で記されている、林道へと向かう谷筋の登山道のようであった。其処に合流して、さらに北を目指す。やがて道が右に大きく舵を切るようになった処で、暫く考え込んでしまった。地形図の破線は、此の儘行くと五常の滝へと至るようになっているが、北面に遮るように立ちはだかっている尾根にも、かろうじて踏跡が続いていた。尾根の先は直ぐに320mの小ピークが在る筈で、無闇に登り続けるような苛烈な道ではないと思われた。

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意を決して、登山道から外れて傾斜を攀じ登った。直ぐに尾根の上に出たら、何のことは無く、瘤のようなピークを見渡せる、明るい道になった。ピークをパスして、右手の深い谷を見下ろすエッジの上を歩いて行く。勾配が下りになって、行き着いた処に、登山道が横切っていた。赤いテープに黒のマジックインキで、沢山峠、と書かれてあった。相変わらずの親切なような、そうでないような、不安にさせるような不思議な指針が記されている。登山道を横断して更に登る道へは、ユガテ、キタムキジゾウ、と書いてあり、登山道の右方向へは、土山、と書いてあった。

ハイキングマップには記載の無い登山道だが踏跡はしっかりしていた関ノ入尾根。しかし公的な道標ではなく、乱雑な手書きの情報が至る処に記してある不思議な山域だった。私は、小さな冒険を終えたかのような、満足感を覚えた。そして、ごく自然に、土山方面への登山道を歩き始めていた。

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コメント

あけましておめでとうございます。

関ノ入尾根を歩いていたのですね~。
確かにあの境界尾根は気になるわ。
僕も武蔵横手の駅で降りていたら、迷わずそちらを選んでいたことでしょう。

あの辺一帯に指導標を整備している人がいらっしゃるようですね~。
長尾根山とは~。
僕も長い尾根の山が由来かなと。
それも安直な名付け方だな~。

奥武蔵は、一人だと、わくわくどきどきの小さな冒険ができそうっすね~。
迷っても危険なところは無さそうだし。
バリエーションの練習にはもってこいの場所だと思いますよ。

山登りの楽しみ方がだんだん変わって来たかな?
バリエーションの世界へようこそ~。
大歓迎です。


あけましておめでとうございます。
昨年はかずさんとお会いできて、非常に有意義な年でした。

そうなんです。かずさんと御一緒する前に、手探りで行った奥武蔵。
沢山峠の記憶が既に曖昧になってました。お恥ずかしいです。

今月は第二回の奥武蔵、ぜひ御一緒してくださいね。

山登りの愉しみが、読図によって無限に広がるようです。
関ノ入尾根は、新発見だと忍び笑いして喜んでましたが、
最新エアリア奥武蔵を見たら破線で記されていてちょっとがっかりです。

奥武蔵の奥義はまだまだこれからですね(笑)

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