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2012年12月

送電峠、長尾根山、五常山。関ノ入尾根を歩く。

Sekinoirione_2



2012/10/10

武蔵横手駅(12:00)---長尾根山[273mピーク]---五常山[305mピーク]---土山---北向地蔵---物見山---日和田山---巾着田---高麗駅(16:00)

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西武新宿線の某駅で、奥武蔵ハイキングマップと謂う簡便なパンフレットが無料配布されていたのを見て、今迄訪れたことの無い奥武蔵に興味が湧いてきた。思い立って出掛けてみたものの、飯能駅から先に向かう電車の本数が極端に少ない。閑散とした待合室でハイキングマップと地形図を並べて、武蔵横手駅から日和田山を廻ると謂う漠然としたことだけを決めた。

観光ポイントである五常の滝への車道から、物見山へと続く登山道があるようだが、地形図を眺めているうちに、日高市と飯能市の行政区境が貫く尾根を歩けないものかと思い始めた。西側の谷筋に合流しそうな尾根の途上に、273m.305mと謂う、ふたつの標高を記したピークがある。武蔵横手駅を出て、とりあえず五常の滝への車道に入り、左側の尾根を注視して歩いていたら、難なく登り口は見つかった。上がった処は寺社の在る崖地で、山林の中に古びた墓地が段々に並ぶ、少し不気味な雰囲気の場所であった。墓地の合間に踏跡の明瞭な登る道があり、少し登ったら市町境界線上の、最初の小ピークに着いた。

踏跡は的確に続いており、地形図を凝視しながら、不安は杞憂に終わったのだと安堵した。小ピークから下りた鞍部で、送電線の巡視路らしき道が合流してきた。小さい案内の札があり、林道関ノ入線、と書いてあった。其れに拠ると、くだんの墓地は薬師堂で、此れから向かう先のピークの名は、どうやら長尾根山と呼ぶらしい。直ぐに送電線を横切る地点が現われ、小さい鉄塔が鎮座する処に手書きの札が木に括り付けられている。送電峠と書かれているが、余りに安直過ぎる名前が乱雑に書かれているから、なんとなく、素直に受け入れられない気持ちがある。そう思うと、長尾根山と謂うのも、長い尾根の山、なので、どうにも安易な山名であると謂う気がする。

なだらかな樹林帯を進むと、やがて南西から派生する尾根が合流する地点に登る。木々の合間から、漸く日和田山方面の眺めが垣間見えるようになった。そして直ぐに、やや急傾斜の斜面が現われて、道が細くなり、ジグザグによじ登っていくと、痩せ尾根の途上のようなピークに立った。此処が273mピークで、やはり手書きの案内票があり、長尾根山と記してあった。

西側に回りこむようにふたたび鞍部へ下りて、相変わらずの樹林帯を歩く。送電鉄塔迄来ると、高指山の電波塔迄をも見渡せる風景が広がった。少し北西に進路を変えて、目の前に大きな山容が立ち塞がる。道は緩やかに傾斜を変えて、暫く登ったら明るい場所に出た。と思ったら、此処が305mで、五常山と書かれていた。五常の滝との関連性は、やや希薄のようにも思える位置にあるが、判り易いピークの名前としては、相応しいとも思える。

其処からは、右手に広がる、五常の滝へと至る深い谷を横目に見ながら、左へと旋回するように尾根を歩く。植林が鬱蒼とした沢へと横滑りしていくような感じで、薄暗い樹林帯へと進路が導かれる。やがて立派な指導標が現われ、武蔵横手駅と記してあった。地形図に破線で記されている、林道へと向かう谷筋の登山道のようであった。其処に合流して、さらに北を目指す。やがて道が右に大きく舵を切るようになった処で、暫く考え込んでしまった。地形図の破線は、此の儘行くと五常の滝へと至るようになっているが、北面に遮るように立ちはだかっている尾根にも、かろうじて踏跡が続いていた。尾根の先は直ぐに320mの小ピークが在る筈で、無闇に登り続けるような苛烈な道ではないと思われた。

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意を決して、登山道から外れて傾斜を攀じ登った。直ぐに尾根の上に出たら、何のことは無く、瘤のようなピークを見渡せる、明るい道になった。ピークをパスして、右手の深い谷を見下ろすエッジの上を歩いて行く。勾配が下りになって、行き着いた処に、登山道が横切っていた。赤いテープに黒のマジックインキで、沢山峠、と書かれてあった。相変わらずの親切なような、そうでないような、不安にさせるような不思議な指針が記されている。登山道を横断して更に登る道へは、ユガテ、キタムキジゾウ、と書いてあり、登山道の右方向へは、土山、と書いてあった。

ハイキングマップには記載の無い登山道だが踏跡はしっかりしていた関ノ入尾根。しかし公的な道標ではなく、乱雑な手書きの情報が至る処に記してある不思議な山域だった。私は、小さな冒険を終えたかのような、満足感を覚えた。そして、ごく自然に、土山方面への登山道を歩き始めていた。

加美富士の双耳峰、薬莱山に登る。

Yakurai




2012/10/6

東上野目(10:00)---やくらいスキー場---登山口---薬莱山南峰---薬莱山北峰---北面登山道---林道---やくらいゴルフ場---芋沢分岐---林道---漆沢(15:00)

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実母の生家で行なわれる法事の為に帰省することになったので、間隙を衝いて薬莱山に登ってみようと思った。市町村の大規模な合併により制定された大崎市を抜けて、果てしなく広がる水田の風景が美しい加美郡に入ると、唐突に独立峰の如く聳える端整な山が正面に見える。此れが薬莱山である。

加美郡のさらに山奥、現在は鳴瀬川を堰き止める巨大なダムが聳える漆沢という集落が、私の母の実家である。其の辺境ぶりは想像を絶し、陸の孤島と謂う喩えがよく似合う。母が中学校に通っていた頃は、町の体裁を辛うじて保っている西小野田迄、中羽前街道を二時間も歩いたと謂う。そんな昔日の情景を想像しながら、漆沢から西小野田へと歩き、薬莱山へ登ってみようかとも思ったが、親類縁者の手前、そんなにのんびりと時間を遣うのも憚られるから、従兄弟の車に乗せて貰い、東上野目へと向かった。

国道347号線から見ると、おむすびのような形の薬莱山だが、東側から眺めると、ふたつのピークを持つ双耳峰である。其の真ん中で抉れる谷から広がる斜面はスキー場として整備されており、雪の無い季節は、広々とした草原になっていて、家族連れやカップルなどの行楽客が多く訪れ、思い思いに愉しんでいる。其の傍らに赤い鳥居があり、参拝道の如く、山懐に続く道を緩やかに登って行く。其の道が突き当たり、此処から登山道、の標識が現われたから、いよいよだと、靴の紐を締め直していたら、年配の夫婦が話しかけてきた。茸狩りで採ったものを見せて、此れは毒茸かどうか判りますか、と謂うお尋ねであった。どうして私にそんな質問をするのかと面食らう。植物に詳しいような雰囲気を、私は醸し出しているのだろうか。すいません、全く解りません、と謝ると、おじさんは、少し悲しそうな顔をした。

Kami2

登山口から鬱蒼とした樹林帯に入り、暫くして、よく整備された木段が現われた。加美町に拠って整備された登山道で、御丁寧にも現在の段数、そしてあと何段、と謂うような立て札が随所に設置されている。地形図を見ると南峰から派生する急峻の尾根を直截に登れるよう、階段は設置されているのであった。其の傾斜は厳しいものだから、登っている多くの、年配者や、子供など、皆揃って苦しそうに、そこかしこで休憩を取っている。初秋の東北とは謂え、まだまだ樹林は生い茂っており、時折振り返っても、眺望は殆ど利かない。階段は標識によると全七百六段で、途中にベンチの類などは設置されていない。観光地然として整備された登山道にしては、容赦の無い実直な登りを強いられる。

南北に広がる双耳峰の南端の、標高540m地点で漸く階段は終わり、平坦な道を北西に進路を変えていくと、やがてこんもりと盛り上がったピークに登り詰め、其処が南峰だった。神社の祠があり、日当たりが良いので、草木が生い茂っている。薬莱山の頂上は、未だ夏の匂いが残っているような場所だった。右手にスキー場へと落ちていく谷筋を眺めながら、北峰へと歩いて行く。コルに差し掛かった処に、加美町の広大な水田風景、そして大崎平野を望む展望地があった。其処から直ぐの坂を上がったら、北峰の頂上である。疫病蔓延の時世に薬師如来を祀ったことが山名の由来とされる薬莱山。北峰にも祠があり、私は無為な気持ちになりながらも、合掌してみる。黙祷していると、急逝した叔父や従兄弟の思い出が脳裏に浮かぶ。そして、大震災の映像がフラッシュバックしてくる。

Kami3

暫くして、登頂してきた老人たちや子供たちの嬌声が聞こえてきた。苦しい登りの果てに辿り着いた眺望に、皆が満足気だった。老夫婦の男性と言葉を交わす。仙台から、時折薬莱山に登りに来るのだと云う。積雪の季節も、晴れていれば素晴らしいから、是非また登ってみなさいと勧められた。幼い頃見て驚いた、雪で埋もれそうな漆沢の家を思い出した。

翌日、法事を終えて、夕刻に古川駅から新幹線に乗った。夕靄に赤く染まった大崎平野が広がる車窓から、霞の上に頭を覗かせた薬莱山を見た。其の姿は、云い様の無い郷愁の念を覚えさせた。其の想念は、私をいつまでも捉えて、離さなかった。

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