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2011年7月

本仁田山・大休場尾根

2011/7/13

奥多摩駅(12:30)---安寺沢---本仁田山---コブタカ山---鳩ノ巣駅(16:00)

氷川トンネルに入った電車は勾配の所為なのか急カーブの為か、きいきいと苦しそうな音を立てて緩やかに進み、そして更に減速すると氷川の町に飛び出した。久しぶりに降り立った奥多摩駅。平日の正午過ぎなので、駅前は閑散としている。猛暑の陽射しを浴びて、駅前の車庫でバスがじっと耐えるようにして佇んでいた。

険しい角度で切り立った山々から、深く落ちていく谷底。其の谷間に集落が点在する。そんな山間の町が電車の駅を降りて見渡せる奥多摩の風情。東日本大震災を境に、引き籠るように山へ登ることの出来なかった日々が過ぎた。そして6月になって漸く、唐突に私は青梅線の電車に乗った。最初は恐る恐る青梅丘陵へ。そして高水三山へ。梅雨の日々の、曖昧な空模様はコロコロと変わり、時折雨に打たれて歩いた。繁茂する植物の雫で衣服を濡らし、眼鏡が湿気で曇り、蒸し暑さで全身に汗を掻いた。しかし、其れらの状況がまるで愛おしいと思うくらい、私は充足した。

何回かウォーミングアップを重ねて、いよいよ本格的に登ろうと思い、本仁田山を久しぶりに再訪するという思いが浮かんだ。本格的で本仁田山だから何だと思われそうだが、長いブランクを勘案すれば私の胸は一杯に満たされる。其れでも、鳩ノ巣駅から杉ノ殿尾根では芸が無いし、花折戸尾根やゴンザス尾根は藪だらけの様相が予想される。其処で、何度も訪れながらついぞ一度も登りに使うことの無かった大休場尾根に挑んでみることにした。奥多摩三大急登のひとつとも謂われる難所であることは、幾度も下った折に感じることができた。満を持して、覚悟を決めて、私は氷川国際マス釣場を見下ろす橋を渡った。ちなみに三大急登のあとふたつは、鷹ノ巣山への稲村岩尾根と、水根から六ツ石山への道と相場が決まっているようだが、私論を述べるのは水根と、此れから登る大休場尾根を経験してからである。

いつもは疲れきってだらだらと歩く安寺沢からの舗装路を登る。気持ちが漲っているから疲労は勿論無いが、感覚としては何時迄経っても辿りつかない。そして気がつくと眼下に見渡せる氷川の町が遠ざかり、随分登っていることが判る。漸く登山口の標識を辿り、民家の脇を通って、堰を越え、乳房観音の案内板を見て、いよいよ登りにかかる。記憶としては、行き止まりと本仁田山への指導票がある尾根からが、あの急転直下の大休場尾根だ。しかし、其処迄へのジグザグに山肌を丹念に登る行程が何時迄も終わらない。暑さの所為もあるが、ひと息で登るつもりが二度、三度と休憩して給水する。本格的な急登の手前で、かなり消耗した気分だ。

指導票地点で随分長い時間休んで、いよいよ急登になる。行く手に壁のように、山肌が広がり、其処をほぼ真直ぐに登る。しかし、覚悟していたよりは、あの、重力に逆らうと謂うような強烈な登攀ではない。時折岩場になり、手を使って登る箇所もあるが、基本的には小刻みにジグザグを繰り返して登る感じで、其れでも喩えばであるが、笹子雁ヶ腹摺山のような直登には及ばない。奥多摩三大急登への意識が強いので、つい昨年登った三頭山へのヌカザス尾根の辛かった記憶が蘇る。少し買いかぶり過ぎだったな、などと思って、少し立ち止まり水を飲んでいたら、突然掻痒感を覚えた。足元を見たら、小さい糸蚯蚓のようなものが這っているのが判った。慌てて払うが、直ぐに腕にも違和感が。やはり同じ様な生物が纏わりついている。まさか蛭なのか、と、血の気が引いてくる。奥多摩では全く警戒していなかったが、雨量と湿気が夥しい季節なので、あり得ない訳でも無いだろうと思う。しかし、蛭にしては細長いし、吸い付くような態勢が無かったので、違うのだろうかとも思う。いずれにしても木々の葉の上から落ちてきたようにしか思えない登場なので、私は急登への手応え云々と謂うよりは、大休場尾根から早く脱出したい一心で、ピッチを上げて登り始めた。そうしたら、なんとも呆気なく花折戸尾根と合流した。此処迄来たら、もう頂上は目と鼻の先である。

随分暫くぶりに、本仁田山の頂に立つ。さすがに誰も居ない。飯能方面の関東平野を眺める。曇天なので市街より向こうは見えないが、あの遥か向こうに筑波山があり、そして福島へと通じているのだな、と思う。空は何処迄も広がっていて、関東地方を雲が覆っている。喩え晴天であったにしても、山頂からの遠望を今迄のように愉しむことは出来ないだろう。原発事故の事実からは逃れられる訳が無いのだ。振り返って、木々の間から見える筈の富士山の方角を見る。どんより曇った空模様では当然のことながら見えないのであったが、其の見えないということが、なんだか不吉な気持ちにさせていくような気がした。

追記

x線とγ線を検知するRAEシステムズ製「DoseRAE2」で空間放射線量を計測。

奥多摩駅前 0.1μSv /h
安寺沢 0.08μSv /h
本仁田山 0.08μSv /h

2011年2月からの山行き。

2011/2/13  藤野駅---一ノ尾根---陣馬山---明王峠---相模湖駅

2011/2/21  高尾山口駅---6号路---高尾山---大垂水峠方面林道---小仏城山---日影沢林道---日影---高尾駅

2011/2/27  梁川駅---寺下峠---丸ツヅク山---矢平山---大丸---四方津駅

2011/3/6  石神前駅(13:20)---林道---ノスザワ峠---名郷峠手前のピーク折り返し---三方山---矢倉台---青梅駅(16:00) 

2011/6/8  石神前駅(17:00)林道---青梅丘陵---矢倉台---青梅駅(18:30) 

2011/6/9  沢井駅(13:00) ---惣岳山---岩茸石山---常福院---軍畑駅(16:00)  

 
2011/6/15  石神前駅(16:00)---林道---ノスザワ峠---三方山---矢倉台---青梅駅(18:00) 

2011/6/19  宮ノ平駅(15:00)---梅ヶ谷峠入口---要害山---赤ぼっこ---天祖神社---東青梅駅(18:00) 

2011/7/23  石神前駅(13:00)---林道---ノスザワ峠---名郷峠---二俣尾駅---愛宕神社---愛宕山---三室山---日向和田駅(17:00)

石神前駅 0.1μSv /h
名郷峠 0.08μSv /h
愛宕山奥ノ院 0.06μSv /h

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